History

小学生の時の強烈な記憶。

思えばあの時から、今の生き方を送ることが決まっていたのかもしれない。

当時の記憶が今も自分に中にある。



小学校5年生。当時の担任は今思えば変わった先生だった。

テストに点数を付けない人だった。


満点だった人にはテスト用紙の点数欄にカメマークを書いてくれる。


満点以外の人は白紙。

「テストはテストでしかないから」

とでも言うようだった。





忘れ物をした人を全員並べて、
「なんで忘れ物をしたのか?」

を怒るわけでもなく一人一人淡々と聞いていく。


それだけで授業が終わるんじゃないかと思う事もあった。


「それはなんで?」と聞かれるのを怖がっている生徒もいたが、

自分は攻略法を見つけていて、

「言い訳をしなければ面倒にならない(炎上しない)のに。」

そんなことを考えていた。




一方で個性を尊重してくれる先生だった。

当時は気づかなかったが、そっと見守りながらも応援してくれたのだと思う。

自己肯定感の低い自分にとって、先生の「それ面白いね!」の一言は、とても心強かった。



そんな先生の安心感からか、僕は面白いと思った企画をバンバン提案していた。

平成11年11月11日11時11分11秒にクラス全員で写真撮影。

手塚治虫好きで漫画が上手い子に自分たち出演の漫画を描いてもらい月刊で配布。

夜の学校を貸し切って肝試し。

小学生としてはかなり変わったクラスだったと思う。




2学年ごとにクラス替えを行い進級していくシステムだった僕の学校は、


通常、5年生と同じクラスのまま6年生を迎える。



大好きなクラスメイトと卒業まで一緒だと思っていたある日の朝礼。

新しく赴任してきた校長先生が突然、

「これからは毎年クラス替えをします。」

という宣言をした。


「このままクラスが変わってしまうのはいやだ!
」

そう思った僕は家に帰ってすぐに母親に相談すると、



「そんなに嫌なら反対運動でもしたら?」

と返される。


次の朝、僕はいても立ってもいられず、

「クラス替え反対運動をしよう!」

とみんなの前で宣言していた。



大好きな先生やクラスメイトと離れたくないという気持ちは皆同じで


手が挙がり、僕達の反対運動が始まった。




先生に迷惑をかけないようにとベランダで行う作戦会議。


校長室への直談判。


真面目な子は校長室で泣きながら訴える中、僕はいつもワクワクしていた。


どうやってこのクラス替えを取り消してもらうかを考えるのが楽しくて
、

毎回休み時間で行う作戦会議は僕の1番の遊びになっていた。

こうした反対運動を続ける事1ヶ月。


小学生ながらに署名活動まで行い、たくさんの署名が集まっていった。

日々増えていく署名を見ながら、次はどんな作戦をやろうかと考えていた頃、


校長先生が「今年のクラス替え実施」を取り消した。



僕達の勝利の瞬間でもあったが、まだまだ作戦会議や次の打ち手を考えていたので、

「こんなものか、あっけないな」と思ったくらいだった。


でも、その時の成功体験が今の僕の活動の原点だと思う。



小学生にとっての学校は世の中そのものであり、社会そのもの。

自分が手を挙げること、共感を呼ぶことで社会を変えられるのだと知ってしまった人間に、

普通の人生は送れない。


そんな小学5年生の自分に、恥じない生き方をしたい。

そう思って今を過ごしている。


Written by SORA